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「タクは私を愛してくれてたんだよね……」
そう言うと、コクリとタクは頷いた。
「愛していたから、思い通りにいかないのが腹立たしかったんだね」
コクリ。又頷く。
そんな無言のタクを見つめた。
「私はタクの恋人になっても……妻になっても、タクの物にはならないんだよ。
人なんだよ。人間。意志を持った人間。
だから考えだって違う時は当然あるし、思い通りになる訳がない。殴られたら当然痛いし、悲しい。
私はタクの所有物ではないんだよ」
そう言ったら涙が溢れた。
そう。
私は人間。
誰の所有物でもない。
夫の所有物でもないし、親の所有物でもない。
痛みも悲しみも辛さも苦しさも感じる人間。
そうだ。
そして
ミクだって私の所有物ではなく、ちゃんと痛みも悲しみも辛さも苦しさも感じる、人格がある――――人間。
私と同じく、苦しみを抱えた人間。
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