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頬に熱い涙が伝った。
今更ミクの純粋な愛に気付いて後悔したって、遅すぎる。
義母の葬儀の時、まだ「死」を理解できない筈のミクが泣いて、私は初めてミクを抱き締めた。
ミクと二人で買い物に行って外を歩いた時、何気なく繋いだ手。
ミクは喜んでくれた。
小さな身体、小さな手。
あの温もりをもう一度だけでも、この手に感じたい。
……ねぇミク、私がミクの細い、細い肩を掴んで、角に力一杯頭をぶつけた時、何を思ったの?
痛み?
驚き?
悲しみ?
……憎しみかもしれないね。
ママ、毎日が辛くて辛くて、心が病気になってたの。
でも、そんな言い訳しても許されるはずが無いよね。
ミク、今まで愛してあげれなくてゴメンね。
ゴメンね。
ミク…………痛かったよね……。
私は立ち上がった。
目の前には薄汚れた壁があるだけ。
私はその壁に
勢いよく頭を打ち付けた。
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