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ごん。と鈍い音が頭の中に響く。目から火花が飛び散りそうに痛い。クラクラする。
でも、ミクはもっと痛かったんだ。
あの細く小さな身体で、これ以上の痛みを受けたんだ。
この手が、痛みを与えた。
母親の私が、愛すべき我が子に激しい痛みを与えた。
何というおぞましい罪。
私はもう一度、頭を壁に打ち付けた。
痛みはあり、クラクラするが意識はある。
頭が砕けるほど打ち付けたい。
どうせろくでなしの頭だ。砕けたって構わない。
痛みでクラクラしながらも、もっと頭を打ち付けようとした時、誰かが私の身体を掴み、止めた。
「何やってるのよ!」
止めたのは、前に私を蹴ったりして独居房に行ったりした86番――絵理子さんだ。
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