25567人が本棚に入れています
本棚に追加
家事をある程度済ませた午後の時間、ミクちゃんが入院している病院に車で向かう。
運転中、車窓から幸せそうな親子の姿が見えて、何故か息苦しい思いに駆られた。
後悔の思いがそうさせたのだろう。
唇を噛みしめ、ハンドルを強く握った。
病院近くで小さな本屋を見つけ、車を停めてその本屋に立ち寄った。静かな店内で目指すは児童書コーナー。初めて入る店だから目当ての場所に直ぐに着けなかったが、早歩きで店内を歩き児童書コーナーを見つけると、ミクちゃんが好きだろうキャラクターの絵本を手に取りレジに向かう。
ミクちゃんを預かっていた時、よく見せていたアニメのキャラクター。
このアニメ、好きなんだよね?
病室にこの絵本を置いておきたい。
ミクちゃんが目を覚ました時、退屈したり淋しい思いをしないように。
ミクちゃん、この絵本喜んでくれるよね?
本屋さんから袋に入れられた絵本を受け取り、それをギュッと握り、本屋さんに礼を言って店を後にする。
向かう病院。
願うはミクちゃんの目覚め、そして……ミクちゃんの笑顔。
その為なら、出来る限りの事をしたい。
この絵本がミクちゃんを喜ばせてくれる事を願いながら運転する。
最初のコメントを投稿しよう!