サトミ  見舞い

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「……お邪魔するね」  そう小さく言ってミクちゃんが眠っている個室に入った。  この声が聞こえている事を祈って。  天気が良く、白を色調とした部屋は窓から光を浴び眩しい。  絵本を手に個室の奥に進み、 ミクちゃんに近づくと、眠るミクちゃんの傍らに椅子に座る人影があった。  物音も声もしなかったからか、ミクちゃんしかいないと思い込んでいたので、私はその人影に驚き、絵本を落としてしまう。 「あっ……」  何となく気まずいのをごまかす様に、私は絵本を拾いながら頭を下げた。すると、相手も少し驚きを秘めた顔で頭を下げてくれた。  顔を合わす。初めは逆光のため顔がよく見えなかったが、五十代と思われる、疲れた様な顔をした女性。目元にあるクマが、この女性から疲労感を漂わせている。  あっ……。この人、何処かで見たような……。  違う、似てるんだ。  アヤサさんに。
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