アヤサ  始まり

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 怖かったけど、事実をハッキリさせる為に病院にも行った。  誰にも内緒で、知人に会わないように、住んでいる所から遠く離れた産婦人科に。  間違えである事を祈った。  今更祈りなんて、無駄だった。  …………妊娠していた。  待合室にいる妊婦さんは幸せそう。  同じ「妊婦」でも私はこの妊娠に、深く絶望した。  ドラマとかで観るみたいに、医師は未婚の私に「産みますか?」とは聞かなかった。  父親に知らせた方が良いとか、姓が変わったらまた知らせてくださいとか言う。  それって、私が結婚して産む事を前提としていない?  冗談じゃない!  四週間後また来るように言われたが、もうこの病院には、来ない。  だって、産まない……産めないもん。
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