25567人が本棚に入れています
本棚に追加
寝る時間になり、既にトモヤはベッドに居る為寝室の電気を消そうとする。
手を伸ばして電気の紐に触れ、それを引く前に……まだ明かりが燈っている内に、トモヤに聞いた。
「ねぇ……私ってお節介だよね」
「あ?ああ、そうだな」
いきなりの質問に少し驚きながらも真顔で即答するトモヤ。
やっぱりトモヤも私をお節介と思っていたのかぁ……。
「それってやっぱり……迷惑かなぁ?」
「は?」
「私、親切なふりして自分のエゴをただ相手に押し付けているだけで、余計なお世話をしてるだけ……他人に口出しし過ぎてるのかな?
それって……迷惑だよね」
電気の紐から手を離し、ベッドに座り込む。
手元にあった枕をぎゅっと抱いた。
「それって今日の話しの事か?アヤサさんの面会の」
「……うん」
答えると、トモヤは深い溜息を吐いた。
あ、呆れてる?
「サトミ、話しをこんなに進めながらそんな事考えていたのか?」
言葉は出ず、頷く。
抱いた枕に顔を埋めたからトモヤの顔は見えないが、多分、呆れたって顔してるんだろうな。
「じゃあ、今回の話しも、アヤサさんやその家族に迷惑だと思いながら進めたのか?」
「いや……。そうじゃなくて、何て言うか……。
実は迷惑ではないか、心配なの。結局、私がやってるのはエゴで、そのエゴに皆を巻き込んでいるだけに過ぎないんじゃないかって……」
「じゃあ、アヤサさんの母さんが言ってた『ありがとう』を信じないのか?」
いや……信じる。というか、信じたい。
私は首を横に振った。
「サトミは役に立ちたくてやったんだろ。その結果、『ありがとう』と言ってもらえたんだから、疑ったりせず素直に喜べよ。そんな疑ってばかりだと親切な事出来なくなるし。
人に全く親切に出来なくなるのも嫌だろ?」
「うん、まぁ……」
「じゃあ素直に感謝を受け入れればいいんだよ。じゃ、もう寝るわ」
そう言って布団に潜り込むトモヤ。
「ありがとう」
ありがとうって言ってくれたのに、疑ったりしたら失礼だよね。……素直に受け止めよう。そう思えてきた。
トモヤのお蔭で胸の中のモヤモヤが少し晴れた気がした。
最初のコメントを投稿しよう!