25567人が本棚に入れています
本棚に追加
外に出て朋代さんが鍵をかけると、近くの空き地に停めた車に向かい乗り込む。助手席に朋代さん、後ろにトモヤ。
再び私の運転だが来た時と違いスムーズに道を進める。今度は運転ルートが解るのと、道が混む時間帯が過ぎたからね。
マンション近くでトモヤを降ろし、刑務所に向かう。
最初は軽く会話をしたが、次第にお互いに無言になり、車内に流れるのはラジオの音声のみになった。
普段は好きなアーティストのCDを流しているんだけど、音楽の趣味は人それぞれ違うから、無難にラジオにしたんだけど……。ラジオで下ネタ話をされると気まずくなるのよね。
チラッと朋代さんの顔を見たら、複雑な心境を表す表情だった。どうやらラジオは聞いていないみたい。
自分の娘の面会に刑務所に向かう親の気持ちは、子供が居ない私には想像出来ない。
外の景色は次第に高いビルやマンションなどは見えなくなり、市街地から離れた地にたどり着き、刑務所に到着した。
最初のコメントを投稿しよう!