アヤサ  母親

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 俯きながら歩いて面会室に着き、取り敢えず備えられた椅子に座ろうとしたが、その前にチラリと面会に来たという人物を見た。  途端、冷水を頭上から掛けられたみたいに意識がハッキリした。……驚いた。  目の前に居るのは……お母さん。  此処に来てからは今までずっと連絡が無かった母親。自分がした事を思えば勘当されたって仕方が無い。  だから勘当されたと思い込んでいた。  しかし、今目の前に居るのは紛れも無く母親。最後に見た時と比べ、弱々しい姿になったが。  ……お母さん、痩せた?今まで様々な流行りのダイエットをしては失敗して、全く痩せれなかったお母さんが痩せた……というより窶れた?  明るさが取り柄だった母親は、今は幸薄そうな雰囲気を醸し出している。  私のせいだよね……?  姿を見ただけで罪悪感が喉にまで込み上げてきたみたい。息苦しくなる。  私は座る事も出来ず、呆然と立ち尽くして目の前の母親をただ凝視した。  お母さんは疲労感漂う顔で私を見て、力無く微笑んだ。微かな風で消える蝋燭の炎みたいな、弱々しくて、でも暖かな笑顔。  その顔も溢れる涙で次第に見えなくなる。
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