アヤサ  ミクよ

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 正直、千鶴の言葉はキツイが、言っている事は考えさせられた。  何より、『死んだ方が幸せ』という言葉が心を痛め付ける。  ミクは回復しても、虐待の過去が消える訳ではない。心の陰となり、刺となり、何時までもミクを苦しめる記憶となるだろう。  親に虐待され命の危機に晒された過去は、簡単に消える訳がない。  当然、私の記憶からも消えることがないし、忘れる事は許されない、罪。  そんな辛い過去背負いながら生きなくてはならなくなったミク。だが、そんな過去と向き合いながらもミクが幸せに生きる為に――私は何をするべき?  辛い記憶のまま苦しむ人生を歩まない為――それこそ、千鶴が言った「いっそ死んだ方が良かった」なんて人生にさせない為――  何が必要?お金?愛情?償い?  お金が必要なら死に物狂いで働いてやる。  ミクがこれから幸せになる為に――どんな事でもしてやる。  ミク――死なせてたまるか。  神に祈ると同時に、死に神にも願う。ミクを連れていくな!代わりに私を連れていけ!  虐待の記憶を最後になんてさせたくない!  今度こそ幸せを――
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