アヤサ  ミクよ

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 運動時間、看守が見張る中走り回る。  朝食後、15分も走らされる。この15分が長く感じる。体力が無い私にはこの運動がキツイ。当然サボれるはずがない。  ただ体力を消耗するだけの無意味に感じる走り。何分走ったか分からないが心臓がバクバクいってる――早く走り終わりたいと思っていると、看守が慌ててコッチに向かって来る。  その様子に周りも驚き、走ってる者が皆、立ち止まりはしないが走る速度を落とす。  走って来たのは私が唯一この刑務所で心を許している加藤さんだ。  以前、罪の意識から衝動的に自分の頭を壁に打ち付け、額と頭に怪我をした時手当をしてくれた……私の話を聞いてくれた人だ。  加藤さんは私の前に立ち、息を切らしながら真剣な顔で言った。 「ついさっき……病院から連絡があったの……」  …………へ?   病院?  直ぐに分からなかったが、ハッとして恐る恐る、聞いてみた。 「まさか……ミクの……ですか?」  鼓動が高鳴るのは走ったからだけではないだろう。息苦しくなる。  加藤さんは、静かに頷いた。
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