サトミ  ミクちゃん

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「アヤサは元気そうだったか?」  私達が帰ろうとした時、アヤサさんの父親さんが朋代さんに聞いた。  そっか。私と朋代さんが来てあんまり話せないうちに帰ることになっちゃったんだ……。帰る前にアヤサさんの様子を知りたいわよね。  私達は帰る足を止めた。 「まぁ……元気と言えるかはわからないが……心配する様子じゃなかったわよ」 「そうか……足止めして悪かった。」  そして私達には改めて礼をいった。  アヤサさんの様子を聞いた父親……何度も礼を言いながら面会に行った朋代さん。  アヤサさんの事で何度も謝っていた。  アヤサさんは、アヤサさんの両親から充分大事にされている。  今日それを感じた。  よく、虐待されて育った人は自分の子に虐待をすると聞いたが、アヤサさんは両親から虐待された様には思えない。  やはり、虐待の原因は本人も言ってたDVなんだな……。  私も、トモヤに毎日暴力振るわれたら……どうなるのかな?  チラッと隣を歩くトモヤを見た。  今日だって私に付き合ってくれた。  子供が産めない私を責めたりもせず、そのまま私を受け入れてくれる。  暴力なんて今まで一度も無かった。  何だか急にトモヤが愛しくなってきた。何年も夫婦をしてたのに、今更。  手を繋ごうかと思ったが照れ臭さがあり止めた。  子供が産めなくても、この人と一緒ならそれで充分幸せ……子供は諦めきれないが、そう思える自分になってきている。
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