サトミ  ミクちゃん

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 帰り、朋代さん達を家まで送った。運転はトモヤで。  夕暮れ時で辺りが夕日に染められている。  車の後部席に乗ったお婆さんは、シートベルトを締めるなんて分からなく、朋代さんが締めていた。  そして運転中はドアを開けようとするハプニングもあり驚いた。  幸いドアを開ける前に朋代さんが止めたけど……。  トモヤはお婆さんと二人きりで病院まで運転した。その間も今みたいなハプニングがあったのだろうか……? 「あの、もしかしてお婆ちゃんを病院まで連れていってくれた時もこんな風に大変でしたか?」  同じ事を気にしたのだろう、朋代さんがそっと身を乗り出し聞いてきた。バックミラーでソッとお婆さんを見たら、聞こえていないみたいで車窓から流れる景色を目を細め眺めている。 「いえ、楽しくお話しながら病院に行きましたよ」  サラっと答えるトモヤ。これは気を使わせない為の返答なのだか、真実なのか分からない。  もし、本当は運転が大変だったとしてもトモヤなら「大変だった」って言わないだろうし。  でも、トラブルとかは無く本当に良かった。  そう思うと同時に改めてトモヤを愛しく思った。
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