サトミ  ミクちゃん

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 病院に入りちょうど良い温度に保たれた空気に触れホッとする。  手袋を脱ぎバッグに仕舞いながらミクちゃんの居る個室に向かった。  エレベーターは混んでいたから階段で向かい、目当ての階に着いた時には軽く鼓動が高鳴っていた。  病室に向かう。  あ、誰か病室の前に居る。女性の姿が見えた。  しかもそこは、ミクちゃんの病室の前。  近づいて、その姿は朋代さんの姿だと分かった。壁にもたれ、両手で顔を覆っているが、髪型とか雰囲気で朋代さんと判断出来た。 「こんにちは」  声を掛け近づいて、気付いた。  小刻みに震える身体、そして漏れた嗚咽。  朋代さんは……泣いていた。
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