アヤサ  現実

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 加藤さんは、ミクの回復を早く知らせたいからと、運動時間で私が課せられた時間を走り終わる前に、わざわざ駆け付けて知らせてくれた。  詳しい状態はまだ解らないが、加藤さんは最後に「良かったわね」と静かに言ってくれた。  それを聞いた時、私は嬉しくて、その場にしゃがみ込んでしまった。  身体から力が抜けた感じがしたから。  そして涙ぐんだ。  加藤さんが私を静かに立たせてくれた。 「……すみません、もう大丈夫です……」  涙を拭い、そう言ったのは覚えている。  そう、初めはミクの回復に私も喜んだ。  しかし、次第に不安にもなった。  これから、ミクはどうなるんだろう、と。  回復する前は、そんな事全く考えずただ回復を祈るばかりだった。  でも、いざ回復となると……又、不安になったんだ。
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