サトミ  愛しい

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 だけど……よく見舞いに来るのは、責任感だけが理由ではない。  私は今は専業主婦で、自由に出来る時間で見舞いに行ったり出来るからっていうのも理由だけと、それ以上に……。  ミクちゃんが大好きだから。  ミクちゃんとの繋がりは、ただの隣人でしかなかった。  だから『他人』という関係でしかないかもしれない。  それでも、ミクちゃんが大好きだ。  すごく、愛しい。  ふと見せた嬉しそうな顔。私まで嬉しくなった。  虐待されてるんじゃないかと思った時は、胸が締め付けられる様に苦しかった。  小さな、可愛らしい声で話し掛けてくれて、私の部屋に来てくれて、嬉しかった。 「確かに、責任を感じました。でも、それ以上に、私はミクちゃんが大好きだから、見舞いに来ています」  そう言うと、ホッとしたように朋代さんが言った。 「良かった……。ミクを想ってくれてて」  うん、今言った事は嘘偽り無い、私の本心。  ミクちゃんの父親が、祖父が無関心であっても私はミクちゃんが大好き。 『血の繋がった子なんだから愛してあげてよ!』  そんな風に思ったけど……他人の感情は、どうにもならない。  自分の感情でさえ思い通りにいかないのだから。  だから、「愛してあげて」なんて訴えるのは所詮はエゴでしかない。  切ないけど。  二人、無言になってしまった。すると、こちらに向かう足音が聞こえた。看護師さんだ。こちらに向ながら、朋代さんを呼んだ。  ミクちゃんの事で大事な話しがあるのだろう。 「それじゃあ、行くわね。何だか色々と話しちゃったわね。ごめんなさい。  そして……来てくれて、ありがとう」  そう言うと立ち上がり、頭を下げてから此処から去り看護師の後を歩いていった。  私も頭を下げた後、もう一度ミクちゃんの個室に向かった。
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