アヤサ  これから

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 ミクが目を覚ましたという知らせから二日が経った。  私はその知らせを聞いた時は魂が揺さ振られる程に嬉しかった。  無宗教故にか、神様については信じているか信じていないか自分でも曖昧だ。しかしミクが助かる様に神頼みだけはして、ミクが助かった時には深く感謝もした。  なのに――  私は出所してもミクとは暮らさないと決めた。  最初はミクの目覚めを喜んでくれた同じ雑居房の受刑者達も、私が出所してもミクとはもう一緒になれないと言ったら非難した。  少しだけ、この雑居房で打ち解けられたのに、又孤立してしまった。  嫌がらせも復活して、朝の掃除も散々こき使われた。  身体をわざとぶつけて来るなんて餓鬼みたいなこともされるし、昨日は記憶してるだけで四回は足を踏まれた。  痛みを与えるため、勢い付けて強く踏み付けてきてるのだから、明らかに業と。  私はやり返すなんては以っての外、文句言ったりもしないし睨みもしない。  ただ無抵抗に、地味な嫌がらせに耐える。  解っちゃくれないよ、コイツ等なんかに。  ミクと一緒に暮らさないという決断は、私が下した『償い』の道だという事に。
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