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面会時間になった。
今日は面会がある。ミクの事で、お母さんがわざわざ来てくれた。
親に多大な迷惑を掛けた事に、改めて胸を痛める。
何度も。
面会室に向かおうと、雑居房を出ると千鶴が近付き、「糞女」と耳元で囁いて思いっ切り足を踏み付けてきた。
「……っ!」
私は痛みを耐え、千鶴を無視して歩く。
後ろで舌打ちが聞こえた。千鶴のだろう。
……糞女、か。
なんてセンスの欠片もない台詞。下品。
しかし、自分に向けられたその下品な言葉に苦笑して口元を歪ませた。
だって確かに私は『糞女』だし。
あぁピッタリだ。
自分の子供を虐待し続けて殺しかけた『糞女』。
歩くとジンッと足の甲が痛い。踏まれた足が。
この陰湿な嫌がらせも『糞女』への罰のつもり?
私は罰として受け止めるから、何とも思わない。こんな下らない嫌がらせ。
タクの暴力に比べたら何ともないし…………
ミクに与えた暴力に比べたら、何ともないから。
面会室に付き、アクリル板越しのお母さんを見た。
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