アヤサ  これから

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「あ……アンタが此処を出るまで、ちゃんとミクを育てるから……。ゴメン、お母さんがさっき変な事言ったからよね。  大丈夫。お父さんだってそのうち退院して帰ってくるし、ちゃんと私達でミクを看てあげられるから……。  余計な心配しなくていいから、ね?」  宥めるように話す声を聞き、胸が締め付けられるように苦しんだ。  違うよお母さん。  この決断はお母さんの話を聞く前から決まっていたんだよ。  私は此処に来る前に千鶴子に踏まれた足を、もう片方の足で強く踏み付けた。  ジワリと足が痛むが、それよりも体の奥が……心が痛い。 「養子ってアンタ……。アンタが出所したって、里親にミクを返せなんて言えないんだよ?解ってるの?  簡単に養子なんて言わないのっ!」  私を説教する時の口調になってる。  目が赤くなって涙が浮かんでるけど……呆れて、情けなくて泣きそうなの? 「アヤサ……」 「お母さん。……ごめんなさい。  私はずっとミクを……虐待してきたの。  言えなかったけど……」  お母さんの双眸から涙が、零れる。 「だから今更……一緒になんて暮らせないの。  暮らしたくないんじゃない、暮らせないの。だってずっとミクを悲しませて、最後には殺しかけたんだよ  だからもう……一緒になんて……  無理なんだよ」
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