アヤサ  これから

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「なんで無理なんて言うの?  今までの分、今度こそ、これから可愛がればいいじゃない」  私も、それが出来るならそうしたいよ。  今度こそ、偽り無くただ、抱きしめてあげたい。  この手にあの子の温もりを感じたい。  頭だって撫でてあげたい。  ううん、撫でてあげたい、じゃない。  お願い、撫でさせて。  この腕に抱かせて。  今更、そんな事ミクにお願い出来る?  ……今更……もう、手遅れよ。  母親の信頼なんて私が無くしたし、今ミクが私に抱く感情は……  憎しみや怒り、いや、恐れかもしれない。  もう負の感情しか無いわよね。  それなのに一緒に暮らそうなんて、残酷。  ミクが可哀相。  私は今度こそ、ミクには幸せになってほしい。  それは、私と一緒に暮らすことでは叶わない。  一緒に暮らしてやり直したいなんて私のエゴ。  親のエゴで犠牲になるのはいつも子供。  これ以上ミクを被害者にしたくない。  その思いをお母さんに伝える前に、面会時間が終わってしまった。 「又来るから、よく考え直しなさい」  そう言い放ちハンカチで涙を拭うと、立ち上がりすぐ背を向けた。目の前の後ろ髪とコートは、雪が溶けて出来た水滴がすっかり渇いている。  お母さんは小走りで行ってしまった。  その背中が見えなくなるまで見詰めていた。  気分が沈んでしまい、体まで重くなったみたいで……中々立つことが出来ず、座り込んでいた。
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