アヤサ  これから

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「すみません。喧嘩売って言ってるのではありません。  でも、私達は犯罪者になってしまい、家族にも迷惑掛けてますよね。  償うなんて言いますが、迷惑を掛けた相手と一緒に暮らす事で償う事になりますか?」  絵里子さんが泣きそうな顔になる。 「私は……家族に迷惑を掛けました。何より、一番の被害者は娘です。  私は……刑務所に来て、やっと、今までの行いを反省しました。  ……遅すぎました。  私は、取り返しが付かない事を、しました。  この手で、殺そうとしたのですよ?今更どう償えますか?  とても……一緒に暮らそうなんて思えないんです。  暮らしたくないんじゃなく、暮らせないんです」  絵里子さんが、嗚咽を漏らしながら、涙を拭う。 「絵里子さんは……子供を守ったのですよね。それなら又、一緒に暮らせますよ……。  でも私は違うんです、この手で殺しかけたんです。それなのに一緒に暮らすなんて……出来ないんです」  溢れる涙を拭う。 「お前……」  千鶴が、呟く。その声には怒りは感じられない。 「でも……助かったでしょ。だから、取り返しが付くわよ、ね?」  泣きながら、励ますように絵里子さんが言ってくれた。  私は首を横に振る。 「私はもう……あの子に会う資格なんて……無い。」
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