温もりを、もう一度…。

サトミ 私に出来ること

　病院の出入口から離れた所に車を停めた。

　車を降りると冷気が一気に襲って来る。

　走って院内に向かう。

　ミクちゃんに会いたい。そんな気持ちも私を馳せらせる。

　院内に着き、フゥっと一息つく。

　病院内で走るなんて非常識な事は流石に出来ないから、早歩きで個室に向かう。

　エレベーターの前には、待ってる人が数人居る。患者さんが優先だし、一緒になって待つのももどかしいから階段を昇る。

　もう少し、もう少しでミクちゃんに会える。

　こんなにワクワクした気持ち、久しぶりかも。

　手摺りを掴みながら階段を昇る。背中が汗ばむ。……心臓がバクバクしてきた。無理しないでやっぱりエレベーターを待てば良かったと、階段を昇り終えてから後悔した。

　一旦息を整え、走り出したいのを抑えて個室に向かった。

「失礼します」

　そう声を掛けて、部屋に入った。