アヤサ  新年

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 あまり変わらない毎日。だが、ミクが回復ししたという事実が嬉しい。  その事実が私の原動力になっている。  しかし当然、この目で目覚めたミクを見ることは、出来ない。  ただ、遠くで想うことしか出来ない。  でもこれでいいのかもしれない。会えないままで……。  気がつけば大晦日になっていた。  年越しを刑務所でするなんて、結婚前は夢にも思わなかった。  意外なのは夕食とは別に、年越し蕎麦が出た事。  そういえばクリスマスもいつもより夕食が豪華だった。驚いていると、特別食の支給なんだと絵理子さんが教えてくれた。正月にもお節料理の詰め合わせがたべれるとか。……食べる側の私が思うのも何だけど、犯罪者には税金でこんな風に食べたり出来るのに、被害者側には国は何もしてくれないのよね。確か。  加害者ばかり保護されてるのよね。  それを思うと、他の人みたいに喜んで食べれない。  喜んで特別食にがっつく人達は、本当に反省してるのかな?と思う。  食事は刑務所生活の数少ない娯楽なんだけど、その娯楽は一生懸命働いている人の税金からなん……だよね。  なんて事を考えながらも、年越し蕎麦を完食した。  ミクは、どんな病院食を食べてるのかな?  ……ちゃんと、食べてるかな……。
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