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学生の頃は、元日に届く年賀状が楽しみだった。だけど筆不精な私は中学生になると年賀状も面倒になり、親と一緒に宛名だけを書き印刷された年賀状を出していた。
高校を卒業する頃は携帯電話が普及して、新年の挨拶もメールで過ごすようになってたなぁ。
アドレスを登録はしているが、全然連絡しない友達も新年だけはメールを交わし合った。
相手からは絵文字やら顔文字やらがゴチャゴチャしたメールが着たが、私は「明けましておめでとう。今年も宜しくね」なんてありきたりでシンプルなメールを返すだけだった。
だって、そんなに親しくないんだもん。
アドレスが登録されているのも、ただ、携帯電話に沢山の「友達」を登録したいから。
いや、「友達」というよりただの「データ」でしかないかも。
登録リストが埋まると、「一人じゃない」と安心した。
だけど、メールすら面倒で返信が遅い、或いは返信すらしない私は徐々に人が離れていった。
友達が減る一方で、新しく友達なんて作れなかった。
私は寂しかった。
自ら「友達」から離れていった癖に、寂しかった。
だから、音沙汰してた知人から合コンに誘われた時は嬉しかった。
そして、タクと出会った。
寂しかった私はタクに段々と惹かれていった。
そうだ、新年にメールを送った時、初めてタクにだけハートマークを使った。
しかも沢山ハートマークを……。
今思うと背筋が寒くなる。
思いに耽っていた私は、恥ずかしいような悍ましい過去まで思いだし、小さく身震いししまった。
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