アヤサ  新年

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「あの……それは……」 「心配しなくても大丈夫。あんたが此処を出るまで、私達がちゃんとミクを育てるから。  贅沢はさせてあげられないけどね」  私が刑務所を出るまで……。  出所したらミクと暮らすと考えているんだ。 「違うよ……」  泣きそうになりながら言った。 「え?何が?」 「私はさ……出所しても、もうミクとは暮らさないんだ……いや、暮らせないんだよ。  だからミクを養子に出すんだよ」  お母さんの表情から笑みが消えた。目を大きくさせ、怪訝な顔で私を見る。 「あんた……何言ってるの……?  意味分かって言ってるの?」 「……」 「まだそんな事言ってるの?考え直しなさい!アンタは母親なのよ」 「私は、もう……母親なんかじゃないよ……。  いや、始めから……母親の資格なんて無かった……」
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