アヤサ  新年

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「私はね……ミクが生まれてずっと愛してあげられなかった。  失いそうになった時、やっと、一途なミクに気付いて、愛しく思ったの。  でもさ……遅すぎたんだ」  泣きながら話す私を見て、溜息を吐いて言った。 「確かに……遅すぎたわね。それに気付けなかった私も責任があるわ。  でもね、今は違うんでしょ。ちゃんと、ミクを可愛いと思えるんでしょ?」  涙を流しながら、頷いた。 「大切なんでしょ?」  また、頷く。 「じゃあ、今までの分、愛してあげるのが一番良いんじゃないの?そして償うべきじゃないの?  アンタは見捨てるの?」  ……こう言われるのは予想していた。  だから私の思いを言う。 「見捨てると思われようと、私はこれが一番ミクの幸せの為だと思うから決めた。  償うため一緒に暮らすだなんて、ミクからしたら親のエゴだと思ったから……」  知ってほしいのは……私はミクが嫌だとか面倒だとか、そんな理由で養子を決めた訳でない事。  暮らせるなら一緒に暮らしたいが、それはミクの為じゃないから養子を決断した事。  せめて、両親にだけは分かってほしかった。
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