アヤサ  新年

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 私の話を聞き、お母さんは再び深い溜息を吐き、眉間に皺を寄せた。 「……まぁ、アンタの言いたいこと……考えも解るよ。  だけど……ミクに聞きもしないで勝手に決めちゃうのもどうかと思うよ」 「ミクに……?」  ミクに聞くなんて考えもしなかった。  聞かなくても答えは決まってると思い込んでいたから。 「今日、ミクのお見舞いにも行くけど、その時に聞くわね。退院したらママと一緒に暮らしたいか」 「聞くの……?」  正直、聞かないでほしい。それは、早く私の事なんか忘れてほしいから。  忌まわしい記憶でしかない私の事なんて、忘れてほしい。  だから、私の事なんか話題に出してほしくない。  そう、思った。  けど……。 「聞かなきゃ、だめでしょ?」  真剣な顔をして言われたから、私は……力無く頷いた。
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