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帰る母の背を見送り、面会室を後にする。
私がお母さんに話したのは、全て本音。
嘘なんか吐いてない。
ミクを養子に出す考えも、ミクの為を思って。
……いや、もう一つ、言えなかった理由がある。
怖いんだ。
私は、再びミクと暮らすのが怖い。
実の娘を必要以上に叩いた自分。
タクのせいにするのは簡単だ。
でも、タクにさせられて暴力を振るった訳ではない。
自分の意志で、あんな残酷な事をした。
悔い改めても、『育児』をしたら子供が憎たらしい時もある。
あるに決まってる。
ずっと一緒に居るんだから、時にはそんな時がある。
子供は可愛いだけじゃない。たまには小憎たらしい時もある……だろう。
そんな時、私は叩き過ぎたりしないだろうか?
また、虐待を恐れるばかりにちゃんと育児が出来ないなんて事にならないか……。
ちゃんとミクを見てあげられないんじゃないか……。
沢山の不安がある。
虐待の爪痕は、私の心にも深く残る。
残って当然だ。
それに私以上にミクが傷付いたんだ……。
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