温もりを、もう一度…。

サトミ お見舞い

　今年初めてのお見舞い。
　お年玉も持って行こうかと思ったけど、朋代さんに気を使わせてしまうし……。

　そう思ってお年玉は止めた。

　でも何かをミクちゃんにプレゼントしたいから、病院に行く途中にある洋菓子店に入り、見た目が可愛いクッキーを手に取り、レジに持って行った。
　小さな箱に入った10枚入りのこの店の手作りクッキー。

「すみませんが、プレゼント用に包装お願いします」

　店員の若い女の子が愛想が良い笑顔で「はい」と言って、包装してくれる。
　その間、目の前のケーキを眺めた。見た目鮮やかで綺麗なケーキも良いけど、崩れやすいし、生菓子は痛みやすいから止めておいた。
　冷やさなきゃいけないしね。
　あっ、でもクッキーは粉がベッドに散らかっちゃうかな……？

　買った後になりアレコレと心配になったりする。

　しかし、店員さんが綺麗に包装してくれたクッキーを受け取ると不安は次第に消えていく。

　ミクちゃん、もうお菓子とか食べても大丈夫だよね。

　喜んでくれたらいいな。

　クッキーを助手席に置いて車を走らせた。
　次第に車内に甘い匂いが漂う。

　以前、うちでお菓子を食べていたたミクちゃんを思い出した。