サトミ  お見舞い

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「今年もお世話になります……あら、ミクは寝てるのね」  そう言って私の隣に立ち、ミクちゃんを優しい眼差しで見つめる朋代さん。  暫く二人でミクちゃんを見つめていた。  そうだ、朋代さんにこれを渡そう。 「あ、あの、これ。来る途中に寄ったお菓子屋さんで買ったんです。ミクちゃんにって……。  クッキーなんですけど、店の手作りで包装も完全密封ではないし、そんなに日持ちがしないので早めに食べてください」  そう言いクッキーを渡す。  『当店手作り』とあったこのクッキー。確か防腐剤とかが入ってないって書いてあったから選んだのよね。  店でクッキーを手作業で包装してるから、完全密封ではない。故に今も甘い匂いがする。 「来てくれるだけでも嬉しいのに、わざわざありがとう。ミクも喜ぶわね」  そう言ってクッキーを受け取り、朋代さんは優しい笑顔を浮かべた。
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