サトミ  お見舞い

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 どうしよう……。  私も立ち上がった。 「あの、私、出ますね」  大切な話に私は居てはならないと思い、バッグを掴み、個室を出ようとする。 「お願い、一緒に居てくれる?」 「え?」  私は足を止めた。 「あの……私なんかが居ても良いんですか?こんな大事な話の時に……」  朋代さんは真剣な顔で頷いた後、フッと儚げな優しい顔になった。 「大事な話だからこそ、居てほしいのです」 「……え?」 「サトミさんには本当に……色々お世話になり、沢山迷惑を掛けてしまったわ。  本当にごめんなさい。  ミクも、沢山お世話になったわよね。  貴女がいてくれて、本当にミクは助かったと思うわ。傷付いたミクの心の救いだったと思うわ……。  だからこそ、居てほしいの。  これから、ミクにとっても辛い質問をするから……。ミクが安心して……本心を言ってくれるように。  頼りっきりで、本当にごめんなさい」   それを聞き、私はブンブンと首を横に振りながら慌てて言った。 「い、いえ!私はそんな立派な存在なんかじゃありません。」  ミクちゃんの救いだなんで……。何も出来なかった……いや、救えなかった私が……。  だからそんなに謝らないで欲しい。 「あ、ミク……」  朋代さんのその声を聞いて、ベッドの方を向いた。  ミクちゃんが目を開け、コッチを向いていた。  どうやら、私の声で起こしちゃったみたい……。
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