サトミ  お見舞い

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 相変わらず無表情で悲しげな幼い瞳が、私達に向けられていた。  いつから、起きたんだろう。  私達の会話を、聞いていたのだろうか……。  動揺してしまい、オロオロとする自分が情けない。  朋代さんが私の方を向き、目で訴える。  先程の話――帰らないで、一緒に居てほしい、と。  私はコクンと頷き、この場に残る事にした。  折角ミクちゃんが目を覚ましたのに、このまま帰るのも何だし。  私は笑顔を作り、ベッドに近付いた。  ……上手く笑えてるだろうか? 「こんにちは、ミクちゃん」 「……」  やはり、返事は無かった。
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