サトミ  お見舞い

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「付き合わせちゃってごめんなさいね」  エレベーターに向かう途中、又朋代さんに謝られた。 「いえ、気にしないで下さい」  さっきと同じ事言ってるなと思いつつそう答える。 エレベーターの前に着き、立ち止まりエレベーターがこの階に到着するのを待つ。 「あのね、さっきミクに話した事の、続きになっちゃうんだけど……。  もし、ミクがアヤサと暮らす事を拒んだら、施設に預け……養子に出す事になるの」 「えっ?」  その時、エレベーターが到着したので、取り敢えず私達は乗って、閉のボタンを押した。 「それでね……」  乗っているのは私達二人だけなので、先程の続きを朋代さんが語る。 「本当なら、私達が養子に迎えて、育てたいの。でも、お婆ちゃんの介護もあるし、難しいのよ。  ミクを、ちゃんと見てあげれないかもしれない。それで又傷付けるかもしれない。それにね……アヤサを拒んだミクが、アヤサの親の私達を受け入れてくれるかも心配なの……」  朋代さんが溜息混じりで辛そうな顔でそう話している途中、エレベーターが停まり扉が開いた。  若い女性とまだ幼い子供、中年男性が乗り込んだ為、私達は奥へと進んだ。
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