サトミ  お見舞い

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 玄関前で私達は立ち止まった。 「それじゃあ、私はミクの所に戻るから、ここで失礼するわね。  ……こんな事まで話して、ごめんなさい。  でも、サトミさんはミクをよく見てくれたから、そんな貴女にはちゃんと話さなきゃって、思ったの。  ……寧ろそれが、付き合わせて迷惑掛けてしまったのよね。  ……ミクやアヤサ……私達の事が、重荷になるなら、もう、無理に関わらなくてもいいのよ。  引き留めたり、散々付き合わせた私が言うのも矛盾だけど、サトミさんにはサトミさんの時間があるのよね。  今まで、甘えっぱなしでミクの事を見てもらって、感謝してるわ。でも、無理に私達に付き合わなくてもいいのよ。  ミクも退院するし……もう、サトミさんに迷惑かけられないわよね。」  そう言われ、ハッとした。私のお節介が気を使わせてるのだと。 「私はミクちゃんが好きで、それでお見舞いに来てるだけです。その事で返って気を使わせてすみません」 「お見舞いに来てくれるのは嬉しいわ。  ミクには友達もいないみたいだし、他にお見舞いに来てくれる人、居ないから……。  でも、病院まで遠いし、家事に支障出ちゃうでしょ?あの優しい旦那さんにも悪いわ」  旦那と聞いてドキッとした。  「……又引き留めちゃったわね。ごめんなさい。ミクも待ってるだろうし、戻るわね。  帰り、気をつけてくださいね」  そして別れの挨拶をして、私は外に、朋代さんはミクちゃんの個室に向かった。  外の、冷たい空気に触れマフラーを首に巻いた。  ……私はもう、ミクちゃんに関わらない方がよいのだろうか?  トモヤにも迷惑掛けるし朋代さんに気を使わせる。  私には私の時間がある。  私は……。
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