温もりを、もう一度…。

サトミ お見舞い

　予定時間を遥かに過ぎてしまったので、買い物は明日にして真っ直ぐ帰ろうとする。
　急いで帰ったらトモヤより早く帰れるかな？

　あっ！でも冷蔵庫が空だったんだ。

　帰る途中でお弁当屋に寄って、お弁当を二つ買った。
　海苔弁当と生姜焼き弁当。
　外が寒い為、渡されたお弁当の温もりが心地好い。
　食欲をそそる匂いを嗅いでお腹が空いてきた。

　後は寄り道せず帰宅した。マンションに到着し、車を降りると急ぎ足で部屋に向かった。ドアを開けると明かりが灯っていた。
　玄関には、今朝トモヤが履いて行った靴。
　あぁ、トモヤが先に帰ってたんだ。
　私も靴を脱ぎ、部屋に入った。

「お帰り、何処行ってたの？」

　トモヤは私を責めたりせず、そう言ってくれる。

「……ただいま」

「弁当買ったんだ。腹減ったし早く食おうか」

　手に提げたお弁当を見てそう言うトモヤ。
　夕食の準備してなかったの、何も言わないんだ。

　何時もなら、トモヤが帰ってきた時には夕食が準備されているのに。

『旦那さんにも悪いわ』

　朋代さんに言われた言葉が脳裏に蘇った。