サトミ  お見舞い

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 溜息が漏れた。  自己嫌悪の溜息。  ミクちゃんに関わったからって、いい加減になってしまった不妊治療や家事をミクちゃんのせいになんて出来ない。  私が自ら、ミクちゃんに関わったのだから。  そんな私に朋代さんは気付いたんだろうな。  だから、もう関わんなくても良いって言ったんだろうな……。  私が座っているソファーの隣にトモヤが身を投げるようにドカッと座り込んだ。  その衝撃で私の身体が揺れた。少し驚いてしまい俯いていた顔を上げてトモヤの方を向いた。  目が合う。 「少しは落ち着いたか?」  私は頷くと、さっきの言動を思い返し、恥ずかしくなり又俯いた。 「さっきは……ごめんなさい」  やっと、ちゃんと謝れた。  良い奥さんなんて程遠いな、と自分に嘲笑した。  ……完璧なんて、無理なんだよね。  でも……完璧は無理でも、これ以上中途半端は嫌だった。  子供を欲しているのに、その気持ちは今も変わらないのに中途半端になってしまった不妊治療。中途半端になってしまった家事。  でも……ミクちゃんの事は、中途半端になんかしたくない。  それには、トモヤの協力……理解が必要だ。
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