サトミ  お見舞い

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 ……相手の目を見ないで話すなんて、よく考えたら失礼だ。  私は慌てて視線を上げてトモヤを見た。  不機嫌面になってると思ったが、トモヤは真顔だった。 「……怒ってないの?」  怖ず怖ずと聞く私に、トモヤはポカンとした表情になる。 「は?何で?」  ……なんか、拍子抜けしてしまう。 「だって、トモヤ、私がミクちゃんに関わるの、嫌がっていたじゃない。  なのに私はミクちゃんのお見舞いに行って……それで夕食も作れなくて……」 「いや、あれは……嫌がっているんではなくて……お前が心配だったんだよ」 「心配?」 「何て言うか……アチラに関わる事で、お前までが落ち込んだりしてたから、だから、『あんまり関わるな』って思ったんだ……。」  私の行動で、トモヤに心配掛けてしまった。  妻が他人に関わって、その事で落ち込んだりしてたら、旦那は良い気しないわよね。
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