サトミ  お見舞い

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「あの、こんばんは、サトミです」 『サトミさん、今日はすみませんでしたね、遅くまで引き止めてしまって』 「いえ、気にしないで下さい。旦那も理解してくれているので大丈夫です」  旦那……トモヤの事を話に出したのは、やはり朋代さんに言われた『旦那さんにも悪いわ』っていう言葉がずっと心に引っ掛かっていたからだろうな。   『そうですか……。なんてお礼を言ったらいいか……』  そんな会話ばかりが進む。  口では当たり障りのない会話をしてるが頭の中では本来話したかった内容を考えている。  えっと……。私が電話したのは、又ミクちゃんに会いたいからで……そうだ、退院日を聞きたかったんだ!  そして、私も退院の日にミクちゃんに会ってお祝いしたいって伝えたくて電話したのに、中々切り出せない。  そうだ、私が帰った後、ミクちゃんはどうしたんだろう?  アヤサさんと暮らすかどうか、私が居る時は答えを出せなかったけど、あの後答えを出したのかなぁ……?  気になるけど、聞きにくい。 『……あの、ミクなんだけどね』  話がミクちゃんになった。……恐らく、私がミクちゃんの事が気になって電話したのは朋代さんも分かったんだろう。
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