サトミ  運命の決断

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 朋代さんが看護師さんと話しを済ませた後、私達は個室を出た。  ミクちゃんは朋代さんに手を握られている。  おめでたい……筈なのに私も朋代さんも、旦那さんも表情を曇らせたまま、無言で歩く。  このままでいるのも何か気まずいので、私から話しを振った。 「あの、旦那さん退院されたんですね」  前に会った時は、入院中で病院だった。  近々退院するとは聞いていたが……。 「退院が調度重なって、主人は昨日退院したのよ。  ……あれ、昨日電話でお話しませんでした?」  そう言われて昨日の電話を思い返したら、確かにそんな気がした。  ミクちゃんの事を考え上の空だったから、聞き流していたんだ……。  カァっと身体が熱くなった。恥ずかしいから。……そして、何て失礼なんだろう。 「あ、あのすみません。退院おめでとうございます」  慌てて言ったが今更言うなんて失礼よね。  ……昨日、電話で旦那さんの退院を知らされた時も、恐らく「そうですかぁ」なんて言って流してたんだろう。  自分の失礼っぷりに腹が立った。 「す、すみません……」  謝ったが今謝る事も不自然だ。  顔が熱い。赤面なのは鏡を見なくても分かる。……は、恥ずかしい。 「え?何が?……まっ、気にしないで下さいね」  嫌味の無い笑顔で朋代さんが言う。  その笑顔に救われた気がした。
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