サトミ  運命の決断

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 周りに客が居ない、奥の禁煙席に着いた。  ミクちゃんにはお子様用の椅子が用意された。  ミクちゃんを挟んで朋代さんと旦那さんが座り、向かえに私が座る。  まだ十代後半と思われる、ちょっとふっくらとして赤茶色に染めてある髪が特徴的なウェイトレスさんが、愛想の良い笑顔をしながら水と一緒にメニュー表を置く。 「お決まりになりましたらお呼び下さいませ~」  甲高い声で言うと、頭を下げて厨房へと向かって行った。   私は一先ず水を飲むと、メニュー表を開いた。  特にお腹は空いていないけど、店に入ったからには何か注文しなきゃ、ね。 「私達は珈琲だけにするけどサトミさんは決まった?」 「あっ、私も珈琲にします」 「ミクは何食べたい?何でも良いわよ。  お子様ランチもあるしねぇ……デザートも良いわよ」  朋代さんがメニュー表を指差しながらミクちゃんに尋ねる。  しかしミクちゃんは何の反応も示さない。  何を食べるのが悩んでいるのかなぁ…………。  だと良いのだけど……。 「お腹、空いてないの?」  朋代さんが優しい声で聞くが、ミクちゃんは何も応えない。   「じゃあ、このプリンアラモードにする?」  メニューの中の写真を指差して尋ねると、コクンと頷いてくれた。
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