温もりを、もう一度…。

サトミ 運命の決断

「お決まりでしょうか～？」

　先程のウェイトレスさんが注文を採りに来た。
　相変わらず甲高い声で……。

「珈琲三つとプリンアラモードで」

　旦那さんが注文した途端、ウェイトレスさんの顔から笑顔が消えた。

「御注文は珈琲三つとプリンアラモードだけで宜しいでしょうか？」

　無表情になり、ワントーン下げた声で注文を確認された。

　注文内容が癇に障ったみたい。
　昼食時なのに飲み物とデザートだけ注文したのがマズかったのかしら……。

「あ、スミマセン、ハンバーグランチ一つ追加でお願いします」

　気まずくなり、私は慌てて注文した。

　「嫌な客」扱いされていると居心地が悪いし。

「かしこまりました～。珈琲三つとハンバーグランチ、プリンアラモードですね～」

　コロリと笑顔になり、今度は又高い声で注文を確認した。
　……なんて露骨なウェイトレスさんだろ……。

　でも、苛立ちはしなかった。

　接客態度が悪い店員にいつも苛立つ私が、今苛立たないのは、ミクちゃんの事があるから……。

　素直に感情を出せる彼女が、憎めないんだ。

　でも……初めから喫茶店を選べば良かったかもと、今さらながら思った。

　そしたら余計な気を使わずに済んだだろうから。