サトミ  運命の決断

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 ミクちゃんは俯いてしまった。 「ごめんね……ミク。  こんな大切な事、直ぐには決められないよね?  でもね……大切な事だからこそ、早く決めなきゃいけないの……」  ミクちゃんは、俯いたまま。  項垂れているミクちゃんの顔は、正面に居る私には見えない。  どんな表情か解らない。  それでも、見ていると何だか悲しい気分になり、胸が痛んだ。 「ねえ、ミク。じゃあ、頷いて答えてくれる?  ミクは……これからもママと一緒に居たい?」  朋代さんのその核心を突いた発言で、空気がこの場だけ重くなった。  ゴクリと唾を飲んでしまう。  首を縦にも横にも振らないミクちゃんに、再び優しく問う。 「ママは反省してるの……。もうママはもうミクに酷い事しないよ。おばあちゃんも、おじいちゃんも見守ってあげる。だから……直ぐには難しいけど、又ママと暮らさない?」  ミクちゃんが再びアヤサさんと暮らす……。正直、虐待で捕まったアヤサさんが再び一緒になるのは難しいかもしれない。  でも、アヤサさんは反省している。  だから、ミクちゃんが又一緒に暮らす事を望むのならば、一緒に暮らして欲しい。  だってそれがミクちゃんの幸せだから……。  暫く動かなかったミクちゃんが、静かに動いた。  俯いたまま、そっと首を振った、  …………横に。  それを見た私達は、固まる。  …………えっ?  首を横に振ったって事は…………? 「あっあの、ゴメン、ミク。もう一回教えて。  ミクはママと又一緒に……暮らしたい?」  動揺しながらもう一度尋ねる朋代さん。  すると、再びミクちゃんは首を横に振った……。 「じゃあ、アヤサとは暮らしたくないのか?」  旦那さんが静かに聞くと、今度はコクンと、頷いた…………。
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