サトミ  運命の決断

17/18
前へ
/1109ページ
次へ
 話も終わり……私達はレストランを出ることにした。  伝票を旦那さんが持つ。  自分が飲んだ珈琲と、ハンバーグランチの代金を払おうとしたが、「付き合わせたのはコチラなので……」と言われ、払ってもらう事になった。  帰りの車で、朋代さんの家に向かう。  静かな車内。  疲れたのか、ミクちゃんは眠ってしまった。  ミクちゃんを膝の上に乗せた朋代さんが涙声で呟いた。 「ミクは、取り敢えずウチに……。でも、早い内に養子施設に相談しなきゃ……  早い方が、ミクの為、なのよね……」  赤信号で停車する。ミラー越しに、ミクちゃんの頭を優しく撫でる朋代さんが見えた。 「本当は、離したくない……。離れたくないわよ。  でも……私達がミクを育てるのは、今は厳しいのよ……。  ミクがアヤサと又一緒に暮らすのならば、何が何でも私達が、アヤサを待つ間、育てるんだけど……。  ミクはアヤサを拒んだのだから、アヤサの親である私達より、別の、ミクを大切にしてくれる人の元に行った方が……  ミクは幸せなのよ……。  一緒に居たいというエゴで、ミクを縛ったら……ミクは幸せになれないのよね……」  その呟きは、自分に言い聞かせている様だった。  朋代さん達がミクちゃんと離れる事が、ミクちゃんの幸せの為だと自分を説得させているんだ。  でも、本当にこれでいいの?
/1109ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25567人が本棚に入れています
本棚に追加