アヤサ  新住居

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 ピンポンを鳴らし、出てきたのは二十代後半か三十代前半位の、今日挨拶した中で一番若いと思われる女性。表札を見るとサトミとトモヤという二人分の名前があった。夫婦、二人暮らしかな?  隣に越してきたと挨拶してお菓子を渡す。 「あら、わざわざ有難う、良かったら上がって。一緒に頂きましょう」  笑顔で受け取った女性はとても愛想が良い人だ。私はタクが居る部屋に帰りたくないからお邪魔する事にした。 「私の事、サトミと呼んでね。仲良くしましょ」 「あ…じゃあ私の事もアヤサと呼んでください」 「了解っ!よろしくね、アヤサさん」  サトミさんは人懐っこい笑顔を見せた。そして、しゃがみこんでミクと同じ目線になる。 「かわいいね、なんて名前?何才?」 「ミク…二才」  ミクはおどおどしながら答えた。  サトミさんはミクの頭を撫でながらとびきりの笑顔。「可愛いね」と言ってくれた。  …子供好きなのね。羨ましいな…。 「ねぇ、これからも遠慮無く遊びに来てね。ミクちゃんも一緒にね」  そしてお菓子を用意してくれた。 「アヤサさん、飲み物は紅茶とコーヒー、緑茶のどれがいい?」 「あっ…じゃあコーヒーで」 「ミクちゃんはオレンジジュースでいい?」 「何でもいいわよ」  私がそう答えるとオレンジジュースをミクに出してくれた。  別に水道水でいいのに……。
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