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「まあ、部屋はどこでもいいけど、あまり2階の部屋は使わないでくれ。まだ片付いていない」
床にどかっと荷物を置きながら、河俣が言った。
「ところでさあ」
ふと、二人の女性部員の内の1人である甲斐千春(かいちはる)が口を開いた。
「何で河俣君はこんな館を知ってんの?」
「ああ。それは、曾祖父が某銀行の社長で、明治――いや、昭和初期にこの《桜館》を建てたんだ。でも、曾祖父が死んで祖父の代になった時、当時の《桜館》が炎上してしまったんだ。で、その旧跡地から今の場所に移動して建てられたのが今いる《桜館》なんだ。
で、その祖父が死んで、父の代になり、父が交通事故で死んで、僕のものになったんだ」
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