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「…陛下!魔王軍はあと三日もすればこの城に押し寄せてきます!」
「兵力差は絶望的…最早、我が軍の兵は当初の三分の一程しかおりません!」
次々と濁流の様に伝えられる絶望的な報告。
壮麗な装飾の施された大理石の机には巨大な地図が広げられ、その地図を囲む様に初老の男達が額を付き合わせている。
「…五百年の歴史を誇る我がトューレが…こうも呆気なく滅ぼされるとはな…」
不毛な議論を続ける男達を見て、上座に座る一際豪奢な服を纏った男が溜め息混じりに呟く。
その言葉に込められた諦めにも似た感情は波の様に場に広がり、部屋は沈黙に包まれる。
そう、これ以上の議論は不要だった。
兵も無く、武器もない彼等に勝利の鍵は存在せず、後はただ静かに終焉の時を待つばかり。
神か悪魔でも現れなければ、この戦況を覆す事は不可能……かと、思われた。
「…諦めるのですか?負けを、認めるのですか?」
荒んだ静寂の支配する部屋に、突然鈴の鳴る様な声が響いた。
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