第一章:遺伝子操作型進歩人間

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「久しぶりね、那由多。元気かしら?」 ツンとした薬品の匂いの中、研究所の奥まで歩くと白衣の女性が僕を出迎えた。 「……やあ、みちるさん。元気だよ、とても残念なことにね」 「そうじゃなくちゃ此方は困るわ。折角の命、楽しみなさい」 意味有り気にそう微笑んで僕にファイルを渡す妙齢の女性は久遠みちるさん。僕の雇い主である。 明るめの茶髪に、真っ黒な瞳はスッと切れ長で冷たい印象を与える。 ノンフレームのシンプルな眼鏡がよく似合う整った顔立ちだ。
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