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「ふうん……お客さんはヒトか。貧弱なもんだね」
ファイルを隅から隅まで読み終わると僕は素直にそう言った。ここの所お客さんはヒトばかりだからそう思ったのだ。
「貴方たちとは違ってナイーヴなのよ。……貴方はその中でも特別だけれど」
みちるさんは呆れたようにそう言いながら僕を隣の部屋に連れて行く。
そこには白いベッドに乗った死にかけたヒトがいた。
恐らく年代は六十代半ばくらいだろう。ちらほら白髪になった髪は薄く、顔中に皺がある。
麻酔を掛けてメスで体を開く。肺の辺りに潜む異物を取り除いて、開いた体を元通りにすればおしまい。
そう、僕の仕事は医者なのだ。
たったそれだけの事をするだけで僕は高額の報酬が貰える。
人体を余すとこなく熟知している僕にとって其れは容易かったが、他の人間やヒトには無理らしい。
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