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「フゥ…これで一段落だね…」
アレンはそう言うと、疲れた様子でため息を吐いた。
「…任務は完了した。帰還するぞ」
「あ!リュード!」
呼び止めるアレンを無視し、リュードは出口へ向かい歩き続けた。
と、その時だった。
「お兄ちゃん…」
リュードが出口へと差し掛かろうとした時、少女がリュードの前に立った。
「…何だ?」
少女はリュードの問いにビクッと反応し、恐る恐る顔を上げ、手を震わせながら小さな一輪の白い花をリュードに差し出した。
「これ…あげる…」
リュードは無言でその一輪の白い花を受け取ると、その花をジッと見ていた。
「お家を守ってくれて…ありがとう…」
少女はそう言うと、リュードに満面の笑みを見せた。
「………」
リュードは少女に背を向け、目だけを少女に向け、徐に口を開いた。
「…俺も…ありがとう…」
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