桜咲く

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『―…あのっ…』 思わず両手で口を押さえる。 声が出ない。 口は動くが声が出ない。 ぱくぱくと口を動かす姿はまるで酸欠の金魚の様だ。 焦る私を余所に、彼は桜を十分に堪能したのか踵を返し歩き始めた。 ―…待って! 慌てて私は彼を追いかけ、声が出ない代わりに大胆にも彼の腕を掴んだ。
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